JAガンバレ農業!
【第47回】

地域循環型農業で新たな農業の形を~高梁市備中町、藤原完治さん~

(高梁市津川町)取材日:平成27年12月21日
くつろいでいる牛の写真

自動給餌機により、牛のボディコンディションを最適な状態に保ちます。

高梁市備中町で、新たな農業の形として地域循環型農業の確立に奮闘する若き農業者がいます。藤原完治さん(37)です。藤原さんは、平成15年4月酪農経営の三代目として就農し、酪農と肉用牛繁殖の複合経営をしています。現在、乳用牛105頭(経産牛85頭、育成牛20頭)、肉用牛(繁殖牛)21頭を飼育し、飼料作物を800aで作付しています。

藤原さんは、「地域循環型農業の極みを確立するのが夢だ。地域に留まらず、地域外にも目を向けて幅広い視野で地域を巻き込んだ農業の対策を取る必要がある」と話します。藤原さんの目指す地域循環型農業とは、酪農と肉用牛の繁殖経営と同時に、地域内外で増加の一途を辿る耕作放棄地を請け負い、粗飼料やその土地に適した農作物の作付を行い、粗飼料は飼育している牛へ給与する方法です。2~3年後には作付面積を約11haに拡大する予定です。人農地プランを活用し、耕作放棄地を集積することで、地域と一体となって耕作放棄地の増加に歯止めをかけ、自給飼料率の向上と生産コストの低減にも繋げ、経営規模拡大の一要因にもなり得ます。

複合経営の面では、就農以降新たな取り組みを続けています。当初肉用牛部門で肥育経営を行っていましたが、牛海綿状脳症(BSE)の問題や枝肉市場価格下落と、子牛市場価格の上昇も相まって繁殖経営へシフトしました。就農後、新たな乳用牛舎を新築し、頭数を80頭と当初の倍近くまで増頭。カウンコンフォート(牛の快適性)の向上にも着目し、搾乳ユニット自動搬送装置や自動給餌機等の省力機械の導入で、搾乳や飼料給与作業の効率化を図っています。さらに、混合飼料(=TMR)の自動給餌では、栄養バランス向上と安定した給与にも繋がり、個体別に給与量を自動管理することで生乳の品質向上にもなっています。今年度からJAが推進する稲子実発酵飼料(=稲SGS)の試験的給与も積極的に導入しました。この導入により更なる生産コスト低減に繋がると予測しています。稲子実発発酵飼料はトウモロコシなどの配合飼料よりも、消化速度が遅いため栄養吸収率が向上すると考えられ、生乳の成分向上の一要因です。その結果として、この度、生乳の成分分析でびほく管内トップの成績となりました。

牛舎で作業をする藤原さんの写真

夢は大きく、着実に。地域循環型農業の極みを確立していきます。

繁殖経営の面でも改善を重ねています。哺乳技術の改善と子牛市場価格高騰の影響で、子牛価格が経営転換当初の倍以上に跳ね上がりました。さらに肉用牛の受精卵を乳用牛に移植することで、繁殖面の無駄を省き、乳用牛から生乳収入以外の副産物を生むことが可能となり、経営安定化にも貢献しています。

担い手としても経営・地域面で精力的に活動の幅を広げ、JA青壮年部への参加や家畜人工授精師協会高梁支部長・びほく地区ホルスタイン改良同志会会長も務めています。藤原さんは、「多岐に渡る団体に参加することで、現代社会がどのようなニーズを求め、その土地にどのような農作物が適しているのかを把握する機会となる」と話し、さらには、「地域の先輩からの情報源を基に、若者の力を積極的に登用したエネルギッシュな経営にも挑戦していきたい」と今後を見据えました。

このような取り組みが評価され、岡山県で農業の振興に貢献した青年農業者を対象に贈呈される賞である矢野賞を今年度受賞しました。