JAガンバレ農業!
【第55回】

父の背中を追い、消費者に求められるタマゴを
~高梁市川上町、山室養鶏場(山室博基さん)~

(高梁市川上町)取材日:平成28年3月30日
鶏舎で卵のチェックを行う山室さんの写真

一日二回の集卵。鶏への感謝も忘れずに行う。

「消費者から求められるタマゴを作りたい」と父親の背中を追い、8年前に就農したのが山室博基さん(27)です。博基さんは、祖父の代から続く山室養鶏場の三代目。

JAびほく管内でも養鶏場は10件に満たず、担い手不足の問題などで養鶏農家を取り巻く環境は厳しさを増している一方で、国内自給率は高く、国民一人あたりの消費量は世界トップクラスを誇るまさに国民栄養食品の代表格といっても過言ではない状況です。

鶏舎の写真

鶏の健康管理は、良質な鶏卵にとって重要なことだ。

このような状況下で、山室養鶏場では父親の尊則さん(55)の代から徐々に規模拡大し最大で約3万羽近くを飼育し、主に市場出荷していました。市場出荷する中で、生産に見合った価格が付かないこと、市場価格下落と飼料高騰も追い打ちをかけ経営が圧迫していました。そこで見えた経営改善の一筋の光が、生活協同組合への出荷です。生活協同組合が主催する消費者参加型のイベントや生活協同組合職員の農場研修受入など鶏卵生産以外での仕事が増したものの、消費者の声が直接届きやすくやりがいにも繋がっています。生活協同組合への出荷のため、専用配合飼料の使用や鶏の健康に配慮した開放鶏舎、強制換羽の禁止や鶏の定年制導入による飼育期間の定めなど、こだわり抜いた安全・安心な鶏卵生産に日々尽力しています。

鶏の写真

鶏の健康管理は、良質な鶏卵にとって重要なことだ。

現在日々父親の背中を追う博基さんは、農業関連高校・大学に進学し、周囲の勧めもあり養鶏場を継承しました。「養鶏作業も仕事となれば別」と話す博基さんは、就農以前とのギャップを実感しています。「最初は、手伝いと同じ感覚。鶏卵を拾うだけだと考えていたが、実際は違う。良質な鶏卵を生産するためには、1羽ごとの健康状態管理や鶏舎の管理など目に見えない部分の仕事が非常に多い。その作業こそが、消費者に愛される鶏卵に繋がるのではないか」と博基さんは話します。

さらに、地域の担い手としても活躍の場を広げ、担い手クラブに所属し小麦粉・米粉・きな粉などを作り、JA直売所「神楽の里フレンドショップ」で販売しています。博基さんは、「担い手クラブに所属したことは、多彩な農産物を栽培する担い手が集まるので大変良い刺激になる。様々な分野の情報を吸収し、今後の経営に生かしていきたい」と話しました。

担い手として活躍が期待される博基さんに対し、父親の尊則さんは「今や薄利多売の時代ではなくなった。農業経営が厳しい今だからこそ、多くの情報を収集し、消費者とともに生き、くらしと健康に役立つ鶏卵作りが必要とされる」と期待を寄せました。博基さんも「消費者の声に耳を傾け、今後も消費者に安心して食べてもらえるように生産していきたい」と今後を見据えました。